北大低温研 大気海洋相互作用分野

セミナー案内


2011年度・極域セミナー

日時:2011年 7月 6日(水) 15:00-17:00
場所:低温研 研究棟2F 会議室
発表者:阿部 泰人(Post Doc)
題目:衛星海面高度計資料に対する準絶対平均海面高度場とその北太平洋海流系研究への利用
要旨:
本研究では,衛星高度計とArgoフロートによる観測データを活用して、全球表層流速場データセットを構築し、北太平洋の表層流変動に対する考察を行った。
 衛星高度計は海面高度偏差を観測するので、地衡流速場を算出するには、それに対する平均場が必要である.本研究では,海面高度計とArgoデータの“マッチアップ”に基づき、“準”絶対平均海面高度を見積もった.その結果,Argoフロートの分布特性を活用し、全球海洋ほぼ一様に、衛星高度計の軌道に沿って準絶対平均海面高度を見積もることに成功した。その標準偏差は、12cm(船舶観測データ)から6cm(本研究)と、大幅に改善された。  次に,これらのデータを使用して、黒潮続流の変動を調査した。北太平洋中央部での風応力カール場(Wind stress curl、WSC)と黒潮続流変動は、ロスビー波の西方伝播を介し、リモートにリンクしていると考えられている。本研究では、大気テレコネクションパターンの枠組みの中で、黒潮続流との関係を調査した。その結果、アリューシャン低気圧の南北シフトに関連した西太平洋パターン(Sugimoto and Hanawa(2009))が、海面高度変動の励起・伝播とも、観測データを最もよく説明していることを確認した。北太平洋中央部で発生した海面高度偏差は、伝播速度の緯度依存性により、西方伝播と伴に変形し、さらに黒潮続流付近の海面高度偏差の南北勾配を調節していることが確認された。  最後に、Hawaiian Lee Countercurren(HLCC)を扱った。この表層流は、亜熱帯循環南部で卓越する大規模な西向き流に逆行する流れである。過去の研究は、ハワイ諸島後方に形成される正負のWSCペアによって、HLCCが駆動されると指摘している。本研究では、その経年変動を調査した。その結果、大きな経年変動が確認された。HLCCの強度変動とWSCペアの変動を比較したが、力学的な関連は見られなかった。一方、HLCCの南北両側を通過する大規模海面高度偏差が、東部から伝播していることが確認された。この偏差の伝播が、HLCCの経年変動を調節する主要因であることが示された。
日時:2011年 6月29日(水) 15:00-17:00
場所:低温研 研究棟2F 会議室
発表者:C.C. Bajish(D2)
題目:Patterns of multi-decadal variability of Antarctic Sea Ice Extent revealed by Satellite observation and CGCM output
要旨:
The longterm sea ice variability patterns in the Southern Ocean is investigated using model data(CFES MINI). Compared to the satellite winter mean sea ice extent(SIE), the model mean winter SIE had been reproduced exactly to certain extent. The model mean winter sea ice concentration(SIC) is under estimated compared to the mean winter SIC derived from the satellite. In line with the previous studies, the temporal and spatial patterns of the leading modes of the empirical orthogonal function(EOF) of the observed SIC can be associated with the Southern Annular Mode(SAM)/Antarctic oscillation(AAO) and Pacific South American(PSA) teleconnection pattern. The leading modes of model geopotential height(Z) also shows a spatial pattern similar to SAM and PSA. The power spectral analysis of the principle components(PC) of the leading modes of Z, SIC and sea surface temperature(SST) revealed signals of decadal variability. There is high correlation between the PC's of the leading modes model SST and SIC. Hence, the variability in the ocean plays an prominent role in the longterm variability of sea ice in the Southern Ocean.
日時:2011年 5月25日(水) 15:00-17:00
場所:低温研 研究棟2F 会議室
発表者:谷口 央(M2)
題目:高解像度海洋モデルによる南大洋暖水化メカニズムの解明
要旨:
近年、南大洋における海水温の上昇が顕著である(Gille.2008)。その主な要 因は、地球温暖化に伴う大気変動(Southern Annular Mode; SAM)にあり (Thompson and Solomon., 2002)、南大洋上の偏西風の極方向への遷移に伴う南極周極流(ACC)の遷移(Sokolov & Rintoul.,2009)や、偏西風の風力強化に伴う渦運動の活発化による極方向への熱輸送(Meredith and Hogg., 2006)がメカニズムとして示唆されている。しかし、これらのメカニズムは十分に明らかにされていない。そこで、本研究では近年注目されている後者のメカニズムに着目し、海洋大循環モデルデータ(OFES)を用いて、南極周極流域の渦活動に対する内部水温の応答特性を明らかにすることを目的とする。
本研究では、衛星海面高度計で捉えられた渦活動の変動場と海洋大循環モデルでの渦活動の変動場を比較し、モデルの再現性を確認する。そして、モデルデータを用いて渦活動に対する内部水温応答特性を解明する。
日時:2010年10月06日(水) 15:00-17:00
場所:低温研 研究棟2F 会議室
発表者:江淵 直人(教授)
題目:衛星高度計によるオホーツク海東部の表層循環の観測
要旨:
TOPEX/Poseidon, Jasoon-1, -2 の3基の衛星高度計で観測された17年分のデータを解析し、オホーツク海東部の表層循環の季節変動・経年変動を明らかにすることを試みた。最新の軌道沿い海面高度偏差データセットでは、潮汐モデルなどが更新されているとともに、より海岸近くのデータが得られている。潮汐補正の誤差によるエイリアシングの影響を調和解析を用いて取り除いた。クロスオーバー法でこの補正の効果を調べたところ、浅海域・沿岸域以外では、結果として潮汐除去はあまり効いてないことが分かった。潮汐モデルの改良が進んでいるためと考えられる。高度計データは、カムチャツカ半島西岸の北上流や東岸を南下する東カムチャツカ海流に対応する海面高度偏差の季節変動・経年変動をよく捉えていることが示された。 カムチャツカ西岸北上流と東カムチャツカ海流の季節変動・経年変動は互いによく一致する。また、千島列島の海峡間の水位差の季節変動・経年変動も高度計データで捉えられている可能性が示された。季節変動・経年変動とも、カムチャツカ西岸北上流および東カムチャツカ海流に対して、Chetertyy Kuril’skiy 海峡は同位相、Kruzenshterna海峡は弱い同位相、Bussol’海峡は非常に弱い逆位相、Fritza海峡は逆位相,の変動を示した.また,カムチャツカ西岸北上流、東カムチャツカ海流、および千島列島の各海峡の水位偏差と北太平洋およびオホーツクの海上風場の変動との対応も季節変動・経年変動について見られた。


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